旅の引き出し

子どもが生まれてからの旅の思い出や失敗談、子連れ旅行で役立った工夫を「旅の引き出し」に少しずつ残しています。

初めての母子旅【後編】

前編では、息子と2人で宮古島へたどり着くまでのお話を書きました。

ようやく到着した頃には、私は移動だけでヘトヘト。

家へ着くと、息子を父と母にお願いし、少しだけ横になりました。

私が休んでいる間、父と母は息子のために準備してくれていた海パンを履かせ、サイズが合うか確認してくれていました。

座って乗るタイプの浮き輪にも座らせ、一人で座れるか試していたそうです。

その後はハンモックに乗せてゆらゆら。

とても嬉しそうに笑う息子の動画は今でも残っていて、見るたびに自然と笑顔になります。

私が起きると、ちょうど夕方。

いよいよ息子は初めて海へ向かいました。

波をじっと見つめ、不思議そうな表情。

自分の方へ波が近付いてくる様子を、きょとんとした顔で見ていました。

ところが、海へ足を入れた瞬間…。

冷たさに驚いたのか、「ギャー!」と大泣き。

一生懸命足を持ち上げて海から出ようとしている姿は、今でも写真に残っています。

お風呂とは違う冷たさに驚いたのかもしれません。

こうして宮古島での一日目は終わりました。

翌日は、息子の髪を切るため美容室へ。

途中で少し飽きてぐずってしまいましたが、お店の方は慣れている様子で、優しく話しかけながら手際よくカットしてくださいました。

その後は近くのカフェでひと休み。

父と母、そしてカフェのご主人まで息子を気に掛けてくださり、私は久しぶりにゆっくりコーヒーを飲むことができました。

それまでは、コーヒーを飲んでいても「息子は大丈夫かな。」と気になってしまい、味わう余裕がありませんでした。

息子を気に掛けてくれる大人がいるだけで、こんなにも気持ちに余裕が生まれるんだ。

そんなことを実感した時間でした。

夕方には、もう一度海へ。

この日は泳ぐのではなく、砂浜で砂を触ったり、海を眺めたり、貝殻を探したりしながら過ごしました。

でも、前日のことを覚えていたのでしょうか。

海へ近付こうとすると、息子は私の服をぎゅっと握り、「離れないぞ。」と言わんばかりの様子でした。

その姿が可愛くて、思わず笑ってしまいました。

不思議なことに、父が抱っこして海へ近付く時は落ち着いていました。

抱っこの仕方が違ったのかな、と今でも時々思い出します。

その日は、きれいな夕日を眺めながら家へ帰りました。

三日目は近所を散歩。

途中で馬を見つけたので近付いてみると、最初はじっと見つめていました。

でも馬が動いた瞬間、びっくりしたように顔をそむけ、「私は知りません。」と言っているような表情。

その反応がとても可愛かったのを覚えています。

散歩の後は、前日とは違うカフェへ。

テーブルには南国らしい色鮮やかな花が水に浮かべられていて、とてもきれいでした。

夜は池間島へ向かいました。

目的は、産卵のため海へ向かうカニを見ることです。

道路にもたくさんのカニがいて、踏まないように車はゆっくりと進みました。

ライトに照らされた道路を、小さなカニたちが一匹、また一匹と歩いていく光景は、とても印象に残っています。

抱っこされて上から眺めている分には平気だった息子も、近付けると体を反らして必死に離れようとしていました。

父と母にとっても、私にとっても貴重な体験になりました。

息子自身は覚えていないと思います。

でも、毎年アルバムを見返しながら「あの時はこんなことがあったんだよ。」と話す、わが家の大切な思い出になっています。

数日間、両親とゆっくり過ごしたあと、帰りも母子で飛行機に乗りました。

宮古島から羽田への直行便は夜遅い時間だったため、私は宮古島から那覇を経由して帰ることを選びました。

行きの大変さを経験していたので、「長時間のフライトを一度に頑張るより、短いフライトを2回に分けた方が息子も過ごしやすいかもしれない」と考えたからです。

宮古島から那覇までは機嫌よく過ごし、那覇から羽田へ向かう便は、お昼寝の時間に合わせて予約しました。

そのおかげか、行きのように長時間ぐずることもなく、私も前回より気持ちに余裕を持って帰ることができました。

前編では「目的地へ着くまで」の大変さを書きました。

そして後編では、その先に待っていた、息子のたくさんの「初めて」に立ち会うことができました。

海を見た日。

砂を触った日。

馬に驚いた日。

カニを不思議そうに眺めた日。

息子は覚えていないかもしれません。

でも、写真を見返すたびに家族で思い出を話し、「こんな旅だったね。」と笑い合える。

そんな旅になりました。

帰りは行きよりもずっとスムーズで、「母子2人の旅行も、また行けるかもしれない。」

そんな小さな自信をもらえた旅でもありました。

 

▶前編はこちら

初めての母子旅【前編】